MONKEY MAJIKが仙台で見た「過去、現在、未来」

今年、結成15周年を迎えたMONKEY MAJIKが2月4日にニューアルバム『Colour by Number』をリリースし、同7日には初の日本武道館単独ライブ「MONKEY MAJIK Live at BUDOKAN ~15th Anniversary~」を開催する。

青森で結成された後に拠点を仙台に移して以来、そのライフスタイルを現在までかたくなに貫き通してきた彼ら。浮き沈みの激しいJ-POPシーンの中で彼らのようなスタンスを15年も守り続けるのは非常にレアなケースと言える。そして、そのご褒美と言えるような初の武道館ライブ。彼らはなぜ今も仙台で活動を続け、そしてこのタイミングに武道館に立とうと思ったのか。その理由を探るべく、彼らの地元・仙台を訪れた。


晴天ながらも肌を刺すような冷たい風が吹く1月某日、MONKEY MAJIKの4人は仙台市内のリハーサルスタジオで武道館ライブのリハーサルを行っていた。


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演奏中は真剣な表情の彼らだが、その合間にはリラックスした表情を見せる。ときにはMaynard(Vo, G)が「昔聴いたあの曲が……」とBlaise(Vo, G)やほかのメンバーに話題を振り、その曲を思い出せない3人に対してMaynardがスマートフォンから実際に聴かせるという微笑ましい場面もあった。午後遅くまでじっくりリハーサルを続けた彼らは、その後一時帰宅をし、国分町にある行きつけの居酒屋に再集合することに。スタジオから外に出ると晴天は変わらないものの、ちらほらと雪がぱらつき始めていた。


そして数時間後。国分町で4人と待ち合わせをし、繁華街を歩き回る。ステージに立てばアーティスト然としたオーラ全開の彼らだが、地元ということもあってだろうか、その姿は自然体そのもの。住み慣れた街の、行きつけの店に行くのだから、それも当たり前の話なのかもしれない。


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店に到着すると、いつも座るという奥の個室に案内される。TAX(Dr)が「いつもこの席で飲んでいて。吉田兄弟とのコラボ曲『夏の情事』もこの席で生まれたんです」と話すと、DICK(B)が「でも当時は座席だったの。去年だもんね、テーブル席になったの」と続け、TAXは「そうそう。冬にみんなで鍋をつつきながらね」と付け足す。


我々の来訪を歓迎し乾杯をすると、4人はそのままリラックスした表情で15周年についての心境を話し始めた。アルコールも入り、いつもより饒舌な彼らだが、その言葉の1つひとつからは重みが感じられ、ときには哲学性すら感じさせた。


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Maynard

「15年も続けるのは大変じゃないですか?」ってよく聞かれるんですけど、そうでもないよね? いい感じに時間を重ねられたから、今振り返っても本当にあっという間に感じるし。


TAX

夢中でやってきてあっという間という思いがすごく強いし、いつも楽し過ぎたから基本的に悪い思い出がないんですよね。お金がなくても楽しいことがいっぱいできたし。


Blaise

海外ライブもやったしね。


Maynard

そういうチャレンジがなければ15年間続けられなかったと思うし、まさか武道館みたいな場所でライブをすることになるとも思わなかったし。こういう取材を受けるイメージも、15年前にはなかった。本当に感謝の気持ちでいっぱいです。


TAX

不思議なことに、俺にとってここ国分町は出会いの場なんです。すぐそこのクラブでMaynardとBlaiseが今とは違うメンバーでライブをやっていて、ドラムが抜けちゃうから観に来てって誘われて。それを観て「いいな、このバンド。一緒にやってみたいな」と思ってMONKEY MAJIKに加わったんです。吉田兄弟とのコラボも国分町で飲んだのがきっかけだし。国分町ってパワースポットかもしれないね(笑)。


では結成時からバンドに在籍するMaynardは15年前、どういう思いでMONKEY MAJIKをスタートさせたのだろうか。ビールをグイグイ飲む彼は、記憶をたどりながら15年前を振り返る。


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Maynard

すごくシンプルに、そのとき面白いと思ってた友達と音を鳴らして、飲みながら曲を作るのが楽しかっただけなんですけどね。で、たぶんちょっとだけ真面目な気持ちになったのが、いわゆるファンの方の存在に気付いたとき。当時は本当に数人だったけど、僕たちの曲を好きって言ってくれた。それを耳にして初めて「人を喜ばせるために音楽をする」ってことを考えるようになりました。そういう仲間が1人、また1人と増えていって。メンバーチェンジもあったけど、辞めた人たちもいまだにMONKEY MAJIKのことを応援してくれてるし、中には遠くイギリスから応援してくれてる仲間もいます。彼は日本によく遊びに来るんですけど、「MONKEY MAJIKって何も変わんないね。みんないつも通りじゃん」って言うんです。きっと今も、バンドをスタートした頃と同じ気持ちのままなんでしょうね。あとすごく個人的な理由ですが、日本に残りたかったんだと思う。日本に残るために何かやらないと、というのもあったんだよね。で、その手段としてバンドをするのが一番楽しいし。「友達と音を鳴らして、飲みながら曲を作るのが楽しかった」、それが15年も続くというのはアーティストとしてはすごく幸せなことだと言える。


TAX

そうやって続けてこられたのも、やっぱり人との出会いが大きいんじゃないですかね。僕たちが出会う人たちはみんないい人ばかりで、本当にそこはラッキーだったよね。


Maynard

音楽業界ってイメージ的には悪いところもあるじゃないですか。特に僕たちのレコード会社はザ・ジャパンの象徴のようなイメージがあるし(笑)。でも最初にメジャーデビューのお話をいただいたとき、すごく熱い人たちばかりで「あれ、面白いな」と思ったんです。こんなロックバンドに対して、どうしてここまで熱いラブコールをくれるのかなって。


TAX

ちゃんと自分の思いを周りにきちんと伝えようとしてるから、自分をさらけ出せてるからなんですかね。あと、うちらがみんな大人なのも大きかったと思う。メンバー同士、言いたいことを言い合ってぶつかれるから、今の関係が成立してると思うんです。話がズレてても、それに対してみんなで真剣に考えて、次までに自分の考えをしっかり持ってくるっていう。大人になってからこういう関係性の人と出会えたっていうのは大きいと思います。


Maynard

でも15年続いたのは、時代と出会いの産物なんです。だって、世の中にはたくさんいいバンド、いいアーティストがいますから。うちらが15年間やってこられたのは、本当に何かがフィットしただけなんですよ。そんなに訳のわからないヒットもなかったし、緩くやってる感じが15年続いてるだけなんです。


ここまで緩く活動を続けることができたのは、仙台という土地を活動拠点にしていることも影響しているのだろうか。そう問いかけると、DICKは即座に「実はその質問、結構されるんですよ。『いや、そうなんですよ』って答えられたらいいなと思うんですけど、実際そうなのかどうかはよくわかんなくて」と答える。ほかのメンバーも深く頷く中、TAXは持論を展開する。


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TAX

逆に東京にいたほうが、もっと感性が研ぎすまされるんじゃないかと思いますよ。いろんな情報がある中で研ぎすましていくのと、ない中で研ぎすませていくのって考え方として違うと思うんですよね。きっと東京にいたら断捨離的な考え方になるんじゃないかな。それはそれですごく贅沢なんだけど、選び方を間違えると違う人間になってしまう感じはありますよね。一方で仙台にいると、東京よりも情報が少ないから工夫してやってみようとか、東京じゃないメリットを考える。それってすごく健康的なことだと思うんです。でも「なんで東京じゃなくて仙台なんですか?」って聞かれると、2人(Maynard、Blaise)はどうなっちゃうの?って思う。急に地球規模の話になるし(笑)。


Maynard

仙台に対する愛が強いんだと思う。きっと4人それぞれの心の中に「仙台という街を盛り上げたいな」という気持ちが少なからずあったんでしょうね。だから「なんで東京に行かないの?」と言われれば言われるほど、行きたくないみたいな(笑)。


Blaise

東京で活動していたらもっと早くデビューできたかもしれないけど、仙台という音楽シーンがない街で外国人と日本人がバンドを組んで、時間をかけてでもデビューできたことが最高なんだろうなって。そこは一番信じたいな。それと、バンドって結婚みたいなものなんですよ。死ぬまでずっと、この人と音楽を作りたい。何十年も、ずっと一緒にがんばって音楽を作って、最後に最高の笑顔で死ねたらいいなって思う。それって結婚と同じですよ。


Maynard

友達から始まって結婚に至る。でもそれをずっと続けられたのは、さっきも言ったけどうちらの力だけではないと。ある意味ではミラクルですよね、うちらがお互いをリスペクトして、この4人でしかできないことを続けてこれたのは。


その“ミラクル”の結晶が、15周年という記念すべき年に発表されるニューアルバム『Colour by Number』だろう。彼らはこの新作を制作するにあたり、15周年というアニバーサリーイヤーを意識したのだろうか。


Maynard

そういうふうには考えてなかったけど、こないだ話していて思ったのは……5周年のときに何か特別なことをやったかというと、アルバム『eastview』(2005年9月発売のアルバム)を作ったぐらいだったんですね。で、10周年を終えて何か特別なことをやったかというと、アルバム『westview』(2011年2月発売のアルバム)を作ったぐらい。で、『Colour by Number』というよりも、この15周年を終えて何か面白いアルバムを作れたらなって話が出ていて。それは『southview』や『northview』ってタイトルなのかわからないけど……そういうことも今は意識してます。逆に『Colour by Number』ではそこまで15周年というものは意識してなかったかもしれない。


TAX

そこだけに特化したものではないですよね。だって毎回アルバムを作ることって特別なことだから。


Maynard

でも今までの中で一番「ニューMONKEY」を感じるアルバムじゃないかな、とは思う。気持ち的には次のステップの始まりとして、新たなMONKEY MAJIKを試してるところは無意識のうちにあったのかも。そういう意味では今までで一番自由なアルバムになったのかもしれないね。


Blaise

まだ完成したばかりだし、もしかしたら何年後かにちゃんとした答えが出るのかもしれないよね。そのときに初めて「あ、やっぱり15周年アルバムでしたね」みたいな。


このアルバム発売から4日後の2月7日、彼らは単独公演としては初めて日本武道館でライブを行う。これまで他アーティストのゲストとして同会場に立ったことがあるものの、15周年で初の単独武道館は意外と言えば意外な話だ。


TAX

何年か前から「そろそろ武道館でやったら?」って話は出てたんですけどね。でも今回は自分たちのためにやるというよりは、今まで出会ってきた皆さんに喜んでもらいたいと思って決めたところが大きいかな。


Blaise

サプライズパーティみたいなイメージも強いよね。今までお世話になった周りの人たちに対する、大きいパーティを開きたいなって。


DICK

俺、ライブのモチベーションがどこに向かってるかも言っていいかな? 着地点としては、お客さんがいい顔して帰ってくれたらいいなと思うじゃないですか。でも個人的にはそこがゴールじゃなくて、「お客さんがいい顔して帰ってくれた」ということを肴に飲めるのが最高なんだよね。MONKEY MAJIKはそのスタンスでずっと続けてるし、ファンのみんなもそこをわかってるから、相乗効果で盛り上がる感じがライブは楽しいと思うんですよ。


武道館は彼らにとって「目標の場所」だったのだろうか。Maynardは「それが目標だったら、今じゃなかったよね。10年ぐらい前にやってたよ」と微笑み、「武道館って誰でも知ってる場所だから。そこでライブをすることで、みんなが喜んでくれるのがうれしいんです」と答えた。するとTAXから意外な言葉が飛び出した。


TAX

僕は若い頃に空手をやっていて、Maynardも日本に来てから少林寺拳法を習っていて。日本の中で武道の頂点として大会をやる場所って武道館なんですよ。だから僕らにとっては、武道館って音楽をやる場所じゃないだろっていうのがあって(笑)。


Maynard

そういう意味では、実は2度目の武道館なんです(笑)。


DICK

1回目は試合でしょ? それ単独公演じゃないから(笑)。


TAX

そういう思いもあるんだけど、今まで名だたるミュージシャンの方々がすごい感動を与えるステージを繰り広げてきた場所でライブができるってことも、僕ら的には面白いと思うんです。それは本当に光栄なことですよね。


彼らとの会食は3時間以上にもわたり繰り広げられ、ときにジョークを交えつつも我々の質問に対して真剣に答えてくれたのが印象的だった。基本的にはこういう酒の席では「MONKEY MAJIK」の話題は一切しないという4人だが、この日だけは15年間を振り返る貴重な時間を提供してくれた。その貴重な時間の中で、彼らは何度も「ここまで続けるのは、自分たちの力だけじゃできなかった」と力説した。彼らの思いの丈は、きっと2月7日の武道館公演でもたっぷり感じることができるはずだ。最後にこの2人の言葉で、今回のレポートを締めくくりたいと思う。


TAX

本当に自分たちならではのいいペースで続けさせてもらえてるのは、見守ってくれているファンの方々もうちらのペースをわかってくれてるからできること。すごくありがたいなと思います。


Maynard

ファンってすごいよ。僕たちよりMONKEY MAJIKのこと詳しいし、僕たちよりもわかってるから。逆に教えてもらうことが多いし、本当に大切な存在です。

(取材・文=西廣智一)


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