30周年迎えたTM NETWORKが最先端のライブ

日本の音楽シーンに燦然と輝くスーパーグループTM NETWORK。

結成をした1984年から30年の月日が流れた。常に最先端であり、未知の音を提供し、挑戦し続けてきたTM NETWORK。そんな彼らの30周年を祝う記念すべき公演「TM NETWORK 30th 1984~ QUIT30 HUGE DATA」が15日についに終演を迎えた。


この公演は、「TM NETWORK 30th 1984~ QUIT30」の追加SP公演の位置づけとなり、2月7日、8日にはさいたまスーパーアリーナにて超満員のFANKS(TM NETWORKファン)を楽しませた。


暗転すると、ステージ後方に敷かれた巨大な幕に、イギリスの街角の一風景が映し出され、そこに3人の“潜伏者”と思わしき若者が現れる。1人が紙袋から「TM NETWORK」と書かれたバトンをステージに向かい放つ。放たれたバトンは登場した宇都宮隆の手に渡る、宇都宮はまたそれをステージ下手へと放った。さらに暗転し、ステージ上に小室哲哉、木根尚登、宇都宮の三人が揃い『SEVEN DAYS WAR』から荘厳に幕が明けていく。早くもこの感動的な空気の流れに、場内からは大合唱が起こる。


20150215-_h010302.jpg【クリックで大きな画像】


息つく暇もなく『Birth』、木根の鮮やかなアコースティックギターのカッティングに導かれ『LOUD』を力強く展開していく。木根がギターをかきむしれば、宇都宮は名指揮者のように客席をコンダクト。宇都宮の一挙手一投足に反応するようにFANKSも声を張り上げる。ただ一人、この熱い空間の中、小室はクールに音を構築していた。


スクリーンに1人の女性が映し出される。“潜伏者”の一人と語る彼女のモノローグから、壮大なる組曲「CAROL」が“2015”を冠し、装いも新たな姿で展開されていく。


静かに、そして強く展開していく『A Day In The Girl’s Life』。副題につけられた「永遠の一瞬」のごとく、この空間に一つ一つに彼らの音を焼き付けていく。『Gia Corm Fillippo Dia』はラテンフレーバー溢れるサウンドながら無国籍で、EDM的要素を感じさせつつ、何にも囚われないまさに“TM NETWORKだからこそ”の音が響く。彼らが地球での活動が始まり長い月日が経った。音の流行は移り変われど、未だに彼らには誰も追いついていないことを確信させた。『In The Forest』『Carol (Carol's theme II)』をFANKSも世界観に浸るように静かに聴き入る。その後に、始まる『Just One Victory』で勢いは再び爆発。右に左にと駆け回る宇都宮は高々と天に向かい人差し指を突き上げ、場内中も彼と共に天を刺し、勝利の凱歌を響かせた。


『STILL LOVE HER』で三度の大合唱が巻き起こり、静寂の後、センターにスポットライトが注がれ、そこに立つは木根。ここで彼が初めてメインボーカルを務めた『Looking At You』を披露。流麗なアコギの音と木根の優しい声が場内を包むと、スローな楽曲ながらこの日1、2を争うほどの大歓声が巻き起こる。


そして、小室のソロパートが始まると会場はまるでレイヴ会場のような熱気をはらみ、沸々と溜まったFANKSとステージのボルテージは『Get Wild 2014』で大爆発!静かに音を紡いできた小室も、シンセを持ち出してステージ最前列で強烈なノイズでグルーヴを生み出し極限状態にまでFANKSを煽る。続くは『I am』、ここで盛り上がりは最高潮。ショルダーキーボードを抱えた小室が木根と共に左右へと駆け回る。宇都宮の声の伸びもパワフルだ。ラスト宇都宮は「Yes,I am a Human.We are Human」とTM NETWORKという音のタイムマシーンに乗ったFANKSへの愛と敬意を口にした。


そして迎えるラストは『Fool On The Planet』。地球に生まれ落ちたことに感謝を告げるこの曲は、スクリーンに映し出される沈む夕日を背に情感を込めて歌う姿に感動的瞬間が流れ続けた。ラスト、たかれたスモークの中に消えていく3人。その腕は高々と掲げられていた。この曲で3人が着ていた衣装は宇都宮は赤いシャツ、木根は青いシャツ、小室は紫のシャツは2012年武道館公演「TM NETWORK CONCERT -Incubation Period-」と同じ色。『Fool On The Planet』はこの公演の1曲目でパフォーマンスされた楽曲であり、2012年から続く物語が「TM NETWORK 30th 1984~ QUIT30 HUGE DATA」で一度、終了したということなのだろう。


ライブでは当たり前となった、MCもアンコールもない。それでも最高のエンタテインメントを繰り広げた彼ら、まさにTM NETWORKだからこそ生み出せるコンセプチュアルな世界観を貫き通した2時間だった。映像を駆使した大胆な演出はもちろん、過去の楽曲ですら新たな側面を見せていたことから考えると、まだまだ彼らの進化は止まらなさそうだ。その次なる1歩をこれからも彼らが見せてくれるはずだ。その時をまた楽しみにしたいと思わせる、そんな1夜になった。


TM NETWORKの活動は3月21、22日に開催される「TM NETWORK 30th FINAL CONCERT」横浜アリーナ公演へと続く。(ライブレポ/田口俊輔、写真/ Yukitaka Amemiya)


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