「つばき、こぶし」がハロプロに革命を起こす

今年本格デビューを果たしたハロプロ研修生グループ、こぶしファクトリーとつばきファクトリー。

共に切磋琢磨し続けるもの同士でありながら、「ハロプロ研修生 発表会 2015~6月の生タマゴShow!~」を見て、明確なまでに「異なった」王道を互いが歩み始めた印象を受けた。

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こぶしは結成から半年、早くもグループとしての形が出来上がりつつあるよう。デビュー以来、ハロコンやJuice=Juiceのライブでオープニングアクトを務めるなど、休みなく駆け抜けて来た成果がパフォーマンスにも着実に表れていると、この日披露された『念には念』を観て感じた。キレと力強さを増したのはもちろん、初披露時のガムシャラ感を残しつつ、しっかりと歌詞の世界観を言葉、ダンスの双方で届けていた。「キメ部分」を担う野村みな美はクールさが増し、広瀬彩海は元々持っていた高い歌唱力がより洗練されていた。最年少メンバーの井上玲音はか細い印象が一転、とてつもなく力強い声を届かせる。ダンス面でも藤井梨央はフィジカルの強さを活かした全力ぶりが歌詞の世界を見事に体現。約2週間に渡る初主演舞台「Week End Survivor」を経たことで、感情の込め方や発し方を学んだ影響があってのことだろう。

フリートークの際も前へ前へと出る姿勢が、彼女たちのステージでの力強さと相まって素晴らしい。特に夜公演中盤に行われたジェスチャークイズの際にみせた小川麗奈のボケ回答は、時折見せる天然ぶりがいかんなく発揮されていていい意味で強烈なインパクトを残した。さらに、彼女たちのメジャーデビュー作の一曲がシャ乱Qが世に出るキッカケとなった『ラーメン大好き小池さんの唄』を、ハロプロ楽曲を支えてきたダンス☆マンが編曲を担当するというカヴァー作『ラーメン大好き小泉さんの唄』という入れる力の入れよう。まるでデビュー当時「女シャ乱Q」と言われていた頃のモーニング娘。の系譜に連なっているように感じる。こぶしは、フィジカル的かつコミカルでもあるハロプロアイドルの王道ど真ん中を突っ走っていくのではないだろうか。

そして、結成間もないつばきファクトリー。この日も披露した彼女たちの持ち曲である南沙織、そして事務所の大先輩・森高千里が紡いできた名曲『17才』での、純粋さを前面に押し出したステージは、華々しさに溢れた。

ハロプロ最大の武器とも言えるパフォーマンス面でつばきは実に“静か”。歌唱部分も過剰なコブシの入りはなく、ダンスもキレはありながらも派手さはなく堅実。間奏部分で動く場面も決して激しいというイメージを与えることなく、むしろスマートさすら感じさせる。白を基調としたシンプルな衣装も彼女たちの清楚さに拍車をかけている。ここまでデビュー当初から凜としたイメージで、なおかつ戦闘姿勢を一切見せないハロプログループは珍しいのでは?強烈な個々の色はまだ強く出ていないものの、これからが楽しみな面々ばかり。浅倉樹々、谷本安美の研修生加入1年未満のフレッシュさは相当なもの。浅倉はすでにセンター的なポジションで堂々たる姿を見せているのが心強く、谷本のまだ磨かれていない原石ぶりも今のグループにハマっている。チームのムードメーカー岸本ゆめのは歌唱力で引っ張り、新沼希空は愛らしい声ながら強気なキャラがいい味を出している。年長者コンビでも小片リサが大人びた雰囲気で引き締める一方で、山岸理子はおっとりとした空気を醸し出す真逆ぶり。派手さとは無縁。しかし確実に光るアイドル性。それこそ70~80年代王道アイドルの空気すら漂わせていて、まさに椿の花言葉「控え目な美徳」を体現するかのような姿勢が素晴らしい。まだオリジナル楽曲を与えられていない分、今後はいかようにも変化していくはずであるし、磨かれていくことで新鮮さを維持することが難しくなってくる。それでもできることならこのまま真っ直ぐな王道的白のイメージで突き通してほしい。

勢いと力強さを感じさせるこぶし、淑やかさを感じさせるつばき、さしずめ太陽と月といった関係の両グループ。同じステージを共有しながら全く違う二つの正道を突き進まんとしている両雄。良きライバル、良き仲間としてハロプロアイドルの可能性の限界を引き延ばしていくことだろう。
(田口俊輔)


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